今年に入ってGoogleが買収したVC Backedのベンチャー企業の数は5社。Ciscoは4社。ベンチャーの買収にかねてから積極的なCisco(2004年から累計で22社買収)を、今年のM&A件数という意味ではGoogleが越えている、と指摘するのはDowJones Market Watchの記事「Google tops Cisco in start-up acquisitions」(こちら)。
Googleが今年に入って買収したVC Backedのベンチャー企業は以下の5社。
Feedburner
Peakstream
Greenborder Technologies
Marratech AB
Adscape Media
Googleにとっての"To organize the world's information and make it universally accessible and useful." という目的達成の為に、今後も様々な分野でベンチャーの買収が続くだろうと記事はコメント。一方で、ベンチャーキャピタルとして、これら大手への会社売却を期待して投資をするのは危険、とコメント。買収されるベンチャー企業の絶対数はたかが知れているから、というのがその理由。M&A実現有無のポイントはコネと指摘。例えば、PodshowはSequoia及びKPCB双方から投資を受け入れ、且つRam Shriramが社外取締役に名を連ねている点を例示。(SeqouiaもKPCBもGoogleに過去投資。Ramは過去AngelとしてGoogleへEarly投資。)
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上記記事は現場の肌感覚に結構近い。特定分野でベンチャーがざざっと大量に出て来て切磋琢磨し、その内その中で1社、また1社と大手に買収されて行く、というサイクルが繰り返される。そして、ほとんどの企業は大手に買収されること無く消えて行く。2006年6月22日に本Blogで「ビデオ関連ベンチャーは173社もいる」と書いたが、本Spaceでは取り敢えずYouTubeが買収されたが、残り172社(その後1年経っているからそれ以上?)のうちのほとんどは買収されずに消えるだろう。M&Aをしたいと考える大手企業側の数が172社より遥かに少ないのは間違いない。
買収される可能性が高く無いのであれば、独立独歩で成長する道を模索することになろう。然し、自らが属する事業領域が大手のM&A Targetに属している場合、Long Termで見た自社の競合は同業他社ではなく「M&Aによって自社と同じ機能を持つに至る大手」ということになる。Web上で動くWord Processorを作っていたベンチャーは、GoogleのWritety買収とGoogle Docsの登場によって無数の同業他社ではなくGoogleが競合になった。仮にWeb上で動くワープロを作っていたベンチャーが「Googleによる買収前のWritety」より2倍、3倍の利用者数を抱えていたとしても、ほとんどそれは意味が無かったことになる。
となると、取るべき対策は以下2つに思われる。
- 1つ目は、大手のM&A Target領域「外」の事業を営むべし。裏を返せば、大手が当面事業として手掛ける意思の無い領域を探索すべし。
- 2つ目は、類似企業が大手にM&Aされても自社の独立成長路線に影響が出ないような、「あらゆる企業と異なる特化型戦略」を取るべし。
ある意味、上記1と2はオーバーラップする面もある。ありていに言えば、大手が進出する必然性が希薄なレベル・規模でのニッチ戦略をとるべし、ということになろうか。例えばWeb上で動く「汎用ワープロ」を手掛けるのではなく、「特定の業種・業務プロセスに特化したドキュメント製作・閲覧システム」であれば独立独歩路線もありうるかも知れない。
逆に、汎用方向に事業を振るのであれば、如何にして大手のM&A Shopping Listの上位に自社を持って行くか、という点を戦略的に考えなければならない。汎用路線を指向しつつ、大手のM&Aレーダー網の圏外にいる企業の未来は明るくない。
無論、投資先ベンチャー企業のM&A可能性を高める為にVCが果たすべき役割も多い。逆に、ベンチャー企業側も往々にしてその機能をVC側に期待している。「Exit力」や「M&Aの実現力」もVCの実力を分けるファクターになって行く予感。M&Aをする側の大手企業群を過去育てたVCが圧倒的に有利なのは間違い無いが、対策をあれこれ思案中である。

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