先週、たまたま2日連続で似たようなテーマの議論というかChatをする機会あり。テーマは「日本にアメリカのシリコンバレーのような環境を作れるか」というもの。即ち、新たな技術・アイディアをTryしている人々が集い、それを様々な側面からサポートするエコシステムを日本に作ることが出来るか、というものである。
この命題は日本からお越しになる方と時々議論する機会があるが、議論の暗黙の前提として「日本国内で日本人主体」の「より良いベンチャー環境作り」をすることがイメージされているような気がする。当方としては、まずこの前提自体に問題があるのではないかと思う。まず大前提として、ここでRole Modelと想定しているシリコンバレーは極論すればアメリカではない。ここは、ある意味世界に開かれた無国籍の地。以前、月間ASCIIに寄稿した文章(6月28日付エントリ「月刊ASCII 8月号にシリコンバレー事情についてコラム寄稿」)でも触れたが、シリコンバレーがシリコンバレーたる所以の1つとして、ここが世界に開かれた系であるという点が挙げられよう。例えば当方の投資先CEOの顔を思い浮かべても、アメリカ人以外にもカナダ人、中国人、ギリシャ人などなど、多彩。要は、「起業するならシリコンバレー」という感覚。目的合理的に人々が集い、自然と醸成される目的合理的な風土。「一旗あげよう」と世界から集う人々の情熱とモチベーション。世界から集まるベンチャーの技術やアイディアを狙って集積する世界中の大企業の出先や投資資金。これがシリコンバレーの主要なエネルギー源の1つであろう。
従って、まずは「日本にシリコンバレーを」と主張するのは、「日本国内に無国籍ゾーン(?)を作ろう」と言っていることと等価であると認識すると良いのではないか。そして、その場に集うべきは国籍関係なくあくまでも才能や情熱を持つ個人であり、それを担うのが日本人のみと想定するのは逆に激しく不自然であるとまずは発想してみてはどうか。
ここまで考えて、次に考えるべきは、日本自身が持つ他地域と比べた比較優位。世界中から人々が日本のその「ゾーン」に集う理由。具体的には、「ベンチャーが製品やサービスを売りたくなる市場の存在」や「ベンチャーが売り込みや提携をしたくなる大企業の存在」という意味で、日本に魅力がある分野は何か。自動車か、モバイルか、アニメか、家電か。「**分野で起業するなら、世界に先駆けて良質の市場があるし提携したい企業も沢山いる日本が有利」、と誰もが思う分野を特定して世界中にマーケティングしたら面白いのではないかと思うがどうだろう。
日本の市場や提携先を目当てに一旦優秀な人材が集積して来れば、それをBackする各種Enabler(VCや各種士業、Search Firmやその他各種アウトソーサー等)は自然と充実して来るだろう。続いてそのクラスター目がけて日本国外の大手企業も集まって来る。あとはPositive Feedbackが働くに任せる。生態系作りの最初の一歩は、生態系の中心となる能力や情熱を持った起業家や技術者を集めること。そして、その手段は現在既に日本にある何らかのアセット。
要は、「日本にシリコンバレーをどう作るか」という命題への解はシリコンバレー自体には無く、その解を見つける第一歩は「日本国内に開かれた系を作る」と問題を再設定して、次に「日本自身が持つ比較優位や魅力を総棚卸しする」、ということである。

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