今般の米金融危機がシリコンバレーに与える影響
今般の金融危機がシリコンバレーに与える影響、ということでSilicon Valley WatcherのTom Foremskiの論点出し項目以下御参照。(こちら、Silicon Valley and Wall Street: We're Not Immune - Here's Why )
- Wall Street firms are massive buyers of all types of IT equipment.
IT製品の大きな需要家であるWall Streetの製品購買意欲減退。 - Analyst coverage of Silicon Valley Companies and Growth Sectors.
AnalystのCoverageが減って上場企業株価形成がよりVolatileになる。 - Raising VC Funds.
VCのFundraise環境が厳しくなる。 - IPOs and Exist Strategies.
IPOとM&A双方においてベンチャーのExitがより困難になる。 - Angel Investors.
Angel Investorがヘッジファンドや住宅投資の失敗等の個人資産の毀損を理由にベンチャー投資に及び腰になる。 - Foreign Acquisitions
ドル安とExit環境の問題によって、海外投資家が米技術系ベンチャー企業を安値で買い漁えるようになる。 - Less VC Money.
VCのベンチャー投資が減って、ベンチャーは成長資金を取りづらくなる。
極短期には、まず上記一番目のItemが当地企業に相応に影響を与えよう。Finaicial Sectorは米ITベンチャーの製品販売先として最大のセクターだが、既に少し前からこのセクターへの販売が鈍ってきていることを理由に事業計画の下振れリスクを主張するベンチャーが増えて来ている。
中期的には、当方は上記3番目、4番目そして7番目に注目している。即ち、ベンチャー企業のFundraiseの難しさ、VCのFundraiseの難しさと投資案件のExitの困難さが増すというItemである。カネ余りを背景としたベンチャーを取り巻くミニバブル的状況は消え、起業家-投資家間のパワーバランスが投資家の方に改めて傾いて行って正常化して行くということかと思う。起業後早期IPOやM&AでExit、というシナリオは成立しづらくなり、真面目にじっくりビジネスを作り上げて行く延長線上に何らかのExitがある、という至極当たり前の王道路線が完全に戻って来たということでもある。そして、Exit可能案件の相対的減少に伴い、投資家(VC)間でも健全な淘汰がある程度起こるだろう。
長期的な当方の興味は、上記現象がどこで均衡点に達するかという点にある。即ち、シリコンバレーへの資金の入り口であるVC Fundへの投資家のリスク選好度のコンサバ化と資金の出口である資本市場のリスク選好度のコンサバ化が進む中で、シリコンバレーが持つ健全な楽観主義がどこまでDefendされうるか、という点である。
グリーンスパンの言を信じると、今般の金融危機の背景にあった長期に渡る信用膨張とリスクAppetiteの極度な高まりの遠因は、東西冷戦終結に伴って90年代初頭に新たに市場経済に加わった5億人の旧東側諸国の供給圧力によるディスインフレにある。一方、食料高・資源高を中心とした昨今のインフレ傾向は過去15年以上に渡る低インフレ・低金利・高成長時代の潮目を変え、今後インフレが再び復活。金利高によって収益性資産の利回りは低下して行く。
NetscapeがNasdaqに華々しく上場してから13年が経過したが、この期間中ずっと、シリコンバレーは高インフレ・高金利・低成長時代を経験していない。今後のシリコンバレーを占うには、時計の針を20~30年巻き戻して、80年代からのContextをさらってみる必要があるかも知れないとも思う。
急激に高まる資本コストを背景に、シリコンバレーが持つ健全な楽観性の耐久性ともいうべき事柄が今後問われて行くのではないかと思う。

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