今朝のSanJose Mercuryに、日頃思っていることが纏まっている記事があったのでご参考まで。
インターネット系のVBが、VCが投入したいと考える金額を遥かに下回る資金しか必要としない場面が増えている、という記事。少ない開発者で安くシステム開発して製品を仕上げられる環境が整って来ていることが背景。結果、VCは起業家にカネ以外に何が貢献出来るか求められている、というもの。以下概要。
NetScape FounderのMarc Andreessenが関与している社員14名のNingは、VCから資金を引いていない。一方で、CRMツールをTryしているSugarCRMは、最初はオフィスも持たずに低コスト自己資金ベースで製品開発を実施。テスト版を1000人がダウンロードするところまで行ったが、最終的に$7.75M、$18.77MとVCから資金を引いた。$18.77Mを投資したNEAのScott Sandellは、過去にSalesforce.comに投資した経験あり。この過去の経験からのアドバイスや、各種コンタクト先の紹介を企図して資金を引いたもの。
もう1つの事例として、Blog Search & Rankingサービスを準備中のSphere。同社は3名のTeamで$200Kで会社設立。投資家を慎重に選択した結果、KPCBのDoug Mackenzieを選択。投資金額があまりに少ないので、MackenzieはKPCBのファンドではなくSide Fundからの投資を実行。ただ、Mackenzieは同社に深く関与しているとのSphere CEOのTony Conrad弁。
記事では、But at least Mackenzie's early work ensured him a position where he could help pick the team and make a larger investment later, when the company needs to expand.とあり、要は小額投資をして会社発展に尽くしていれば、業容拡大時に資金需要が出て来た際により大きな金額の投資機会を得られるということ。
締めくくりにTony曰く、``If you really want to have a seat at the table,'' Conrad says of venture capitalists, ``you've got to be involved at an earlier stage -- putting in little dollars, and then really work the deal.''
#記事の紹介ここまで。
一言で言えば、カネはCommodityということ。現在の資本主義の会社制度・株式関連の各種制度は、基本的に工場や機械設備等の物理アセットが価値を生み出す産業資本主義社会を転がす為に編み出されたものであるが、言い古されたことだが価値の源泉が知恵に移行するに連れて、物理アセットの獲得に必要な大きな資本の重要性は相対的に低下。資本を供給するVCとしては、この変化の波をもろに受ける。
VCとは案件を選んでカネを出す、という存在にあらず、入り口でカネを受け取って貰う為に、会社成長に対して貢献出来る能力を多方面に渡って絶えず磨くことを強いられる仕事なのである。「VCは楽しそうな仕事でいいですね」とたまに言われるが、これは正しくない。やり甲斐があるのは100% sureだが、実際続けるのはかなり大変なのである。
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