BessemerのDavid CowanのBlogに、(VCにとって)良いビジネスプランの書き方説明がある。("How To NOT Write A Business Plan")日々時間に追われながら数多くのビジネスプランを目にする立場にいる者として、このエントリには共感する部分が多い。
Bessemerは老舗一流VCの1つ。最近だとSkypeの創業期に投資して当てている。(同社については11月14日のエントリで、「Anti-Portfolio」という面白いページをご紹介した。)
以下要約&意訳。
But my advice is to never send a document like that to a VC.
「VCには(分厚い網羅的なビジネスプランの)ドキュメントを送らないように、というのが当方のアドバイス。」
Keep in mind that you are not alone--entrepreneurship is thriving around the world. In fact, we assess about 100 times as many investment opportunities as we fund, so as everyone knows, it's hard to get a VC's attention. It's not exactly true that all VC's are stupid (not exactly), but we do not have the luxury of an attention span. Drop a thick document on a VC, and it will, wrapped in good intentions, go straight to The Pile.
「貴方(起業家)は決して独りではないことを忘れないように。起業家精神は今や世界中に渦巻いている。実際、我々は投資実行に至る件数の100倍の投資機会を検討している。従って、ご存知の通り、(まず)VCの注意をひくこと自体が大変なことなのである。全てのVCがアホである、というのは必ずしも真ではないが(必ずしも、だが・・)、しかしその1件(のビジネスプラン)に対して注意を向ける時間を取る贅沢は出来ないのである。VCに分厚いドキュメントを届けてみよう。それはそのまま書類の山に直行するだろう。」
Powerpoint presentations, in contrast, can be quickly emailed and skimmed, eliciting much faster indications of whether there is a fit. And if there is a fit, the VC will have an easier time educating the firm about the opportunity. So powerpoint plans greatly increase your chance of getting a term sheet, or at least the dignity of a quick No.
「それとは対照的に、Power Pointのプレゼンテーションは素早くメールで遅れるし、ざっと目を通すことも出来る。(よってVCから)それが(VCの興味に)適合するかの反応を遥かに早く引き出すことが出来る。そしてもし適合するようであれば、VCは自社内でその投資機会をより容易に説明・啓蒙することが出来る。よって、パワポベースの(ビジネス)プランはTerm Sheetを(VCから)引き出す可能性を大いに高めるし、少なくとも(自分のビジネスプランに)即座に”No”の返事を貰える可能性を高める。」
Your presentation should not exceed 10 slides. The appendix can include as many slides as you want. The more the better. Nothing beats responding to some VC's question with a slide from the appendix. Sales productivity? Here are the historical numbers. The competitor's software? Here's a screenshot. Most operating details will remain safely ensconced in the appendix, eliminating unnecessary friction in the presentation.
「プレゼンのスライドは10枚を超えてはいけない。が、Appendixには何枚でも好きなだけSlideを入れていい。沢山あればあるほどよい。VCの質問に対してAppendixからのスライドで説明出来たら最高だ。販売部隊の生産性?、ここに過去の実績数字がある。競合のソフトウェア? ここに画面イメージがある(といった感じ)。ほとんどのオペレーション上の詳細は、Appendixの中に含めておくと良い、それによってプレゼン時の不要な(進行上の)ひっかかりを排すことが出来る。」
というわけで、分厚い事業計画書を用意するのではなく、10ページから成るパワポのスライドを用意せよ、との提案。そして、詳細はAppendixに詰め込むべし、ということ。原文では10ページのスライドに盛り込む内容が列挙されている。以下で概要を紹介する。
「1 カバーページ。カバーページには完全なコンタクト情報と、もしあればキャッチフレーズを。パワポでビジネスプランを書く利点の1つは、事業をとても少ない文言で表現する練習を積むことを強いる事。
2 ミッションステートメント。ミッションステートメントを書くのは、キャッチフレーズで明らかにわかる場合を除いて、良いアイディア。ミッションステートメントは、達成可能で且つ未だ達成していないものにすべし。
3 経営陣の紹介。1枚のスライドにキーメンバーやStartupに何か特別なものを持ち込むDirectorやAdvisorのの経歴を書く。1年以内にコアメンバーに加える予定の人間つついて口頭で触れる。
4 まだ個別の製品やサービスには触れず、対象とする「問題」のNatureを説明する。(お客の)Painのレベルと、既存プレーヤがそのニーズを満たせてない事を強調。
5 製品の紹介と(ユーザの)メリット。(後者は)上記で触れた市場の問題の裏返し。
6 Startup独自のアプローチを可能たらしめた技術や手法の説明。もしあれば特許状況にも触れる。
7 顧客や販路の開拓状況、(顧客)数、(顧客の)ロゴやコメント等。
8 販売戦略。顧客獲得コストの見込みなど。
9 競合状況。Startupがどんなに独自な存在であっても、競合がいることを決して否定するな。(VCから見れば)競合がいても一向に構わない。Flockの競合としてMSがある、みたいな。また、このスライドで市場規模見込みを説明するのも良いかも知れない。
10 損益計算書。過去及びForecast。各期毎の社員数とCash Balanceも。これから3年間で、どの程度の売り上げと損益を見込むのか、そしてどの程度の資金が必要になるのかを明確にする。これら数字の前提・想定を説明するバックアップスライドを数多く用意しておく。」
この通りに作られたプレゼンであれば、確かにVC的にはかなりすっきりする。ちなみにこのエントリには、ビジネスプランのパワポが置いていあるURLをコメント欄に書くとCowanのコメントをくれるとの記述もある。無論英語限定だが、自信のある方は試してみては如何?
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