Guy KawasakiのBlogで、プレゼン資料の作り方&プレゼンの仕方についてエントリあり。( こちら )
Guy KawasakiはAppleの創業時からのメンバーの一人で、現在はGarage Technology VenturesのManaging Director。(Bio詳細は、こちらやこちら参照。)
エントリ中、プレゼンの10/20/30の法則を提唱。この10と20と30の意味は、以下の通り。
10: プレゼン資料は「10枚」構成にすべし。
20: プレゼン時間は「20分」で終わらせるべし。
30: プレゼン資料に「30ポイント」以下の小さなフォントは使うな。
以下詳細。
10: プレゼン資料は「10枚」構成にすべし。
Ten is the optimal number of slides in a PowerPoint presentation because a normal human being cannot comprehend more than ten concepts in a meeting―and venture capitalists are very normal.
「Power Pointのプレゼンスライド数は、10枚が最適。何故なら、普通の人間は1つのミーティングで10個以上の概念は把握出来ないからである。そして、ベンチャーキャピタリストはとても普通の人間である。」
この「10枚にすべし」の話、12月3日のエントリ(VCに見て貰えるビジネスプランの書き方)で紹介した、BessemerのDavid CowanのBlogでも同じことを言っていた。
ちなみに、Guy Kawasakiのエントリでは、10枚の各構成を以下の通りにするよう推奨している。
1 Problem
2 Your solution
3 Business model
4 Underlying magic/technology
5 Marketing and sales
6 Competition
7 Team
8 Projections and milestones
9 Status and timeline
10 Summary and call to action
David Cowanのお薦めと、微妙に内容が異なるのが面白い。Cowanは、会社のミッションステートメントや経営陣の紹介を最初に持ってくるよう書いている。
20: プレゼン時間は20分で終わらせるべし
You should give your ten slides in twenty minutes. Sure, you have an hour time slot, but you're using a Windows laptop, so it will take forty minutes to make it work with the projector. Even if setup goes perfectly, people will arrive late and have to leave early. In a perfect world, you give your pitch in twenty minutes, and you have forty minutes left for discussion.
「貴方(起業家)は、(この)10枚のスライドを20分で説明しなければならない。確かに、貴方は1時間の(ミーティング)枠を貰っている。しかし、貴方はWindowsのラップトップを使っているのだから、それをプロジェクタにつなげるには40分必要だ(注:無論これはJokeとして書かれている。プロジェクタにPCをつなげるには時間がかかる場合が結構あるよ、との意)。もしセットアップがうまく行っても、会議参加者は遅れて来るだろうし、そして早めに退席するだろう。全てが完璧に行けば、貴方は20分でプレゼンして、そして残りの40分を議論に費やすことが出来る。」
実際、当地でのベンチャー企業との面談時間は1時間枠が標準である。VCとしては、起業家との最初の1時間の面談で、次に進むか否かをある程度判断することになる。プレゼン資料が10枚で、20分の概要説明を受けて40分のQ&A時間があれば、少なくとも起業家側の世界観は大枠で掴み取ることが十分出来る。
30: プレゼン資料に30ポイント以下の小さなフォントは使うな
The majority of the presentations that I see have text in a ten point font. As much text as possible is jammed into the slide, and then the presenter reads it. However, as soon as the audience figures out that you're reading the text, it reads ahead of you because it can read faster than you can speak. The result is that you and the audience are out of synch.
「私が目にするプレゼンの大半には、10ポイントフォントのテキストが含まれている。出来るだけ多くのテキストがスライドに詰め込まれていて、プレゼンする人がそれを読んでいる。しかし、貴方がテキストを読んでいることをプレゼンを見ている者が気付くや否や、皆貴方の読み上げを追い越してテキストを読み始める。読み上げるより読む方が速度は速いのだから。結果として、貴方とプレゼンを見ている者間の同期が取れなくなる。」
The reason people use a small font is twofold: first, that they don't know their material well enough; second, they think that more text is more convincing. Total bozosity. Force yourself to use no font smaller than thirty points. I guarantee it will make your presentations better because it requires you to find the most salient points and to know how to explain them well. If "thirty points," is too dogmatic, the I offer you an algorithm: find out the age of the oldest person in your audience and divide it by two. That's you're optimal font size.
「人々(起業家)が小さめなフォントを使う理由は2つある。1つは、起業家自身がプレゼンの中身そのものを理解し切っていない点。2つ目は、より多くのテキストがあった方が説得力があると起業家が考えてしまっている点。全く馬鹿げている。30ポイント以下のフォントを使わないよう、自らに課してみるといい。貴方のプレゼンがそれで良くなること請け合いである。何故なら、(30ポイント以下のフォントを使わないプレゼンは沢山のことを書けないので)貴方は最も主張すべきポイントを決めるよう求められるし、それをどううまく説明するかを考える必要に迫られるからだ。もし、「30ポイント」があまりにも独善的だと思うのなら、1つのアルゴリズムを提案したい。プレゼンを見ている人の中で最も年配の人の年齢を2で割るのである。それが、最適なフォントサイズである。」
30ポイントとは、Power Pointでやってみるとわかるが微妙に&結構でかい。資料の全てが30ポイント以上だと、個人的には情報量的にちょっと物足りない気もする。(ちなみに当方の年齢は30代なので、当方に対するプレゼン資料の最適フォントサイズは20ポイント以下になり、ちょっと小さい気もする。が、それって当方が年齢相応以上に目や頭が固くなっているということだろうか、とちょっと心配になった・・・。 )
いずれにしても、プレゼン資料に文字を沢山書き過ぎるな、ということ。
この10/20/30の法則がVC側から提起されることは、起業家とVCとの立場の違いを端的に表しているようにも思える。
起業家は、特定の事業にコミットしている。一方で、VCはPortfolioである。Portfolioであるから、VCには同時に何社もの投資先の社外取締役として場面場面で複数の投資先の経営判断を積み重ねていくことが求められる。そして、日々新しい事業提案をEvaluateする現場にもいる。
一方で、VCにも1日は24時間しかない。起業家が特定の事業にコミットして、市場や製品・顧客ニーズに対する肌感覚を含めた深い知識を日々蓄積して行くのに対して、VCには時間的制約によって起業家ほど個別事業にコミットすることが物理的に難しい。起業家とVCでは、当然ながら個別事業に対してかけられる時間が圧倒的に異なるのである。
この差を埋めるには、VCは単位時間毎の生産性を高めて、各個別投資先の正しい経営判断や、各投資案件への正しい投資判断に資するような情報の収集・分析時間を圧縮して行くしかない。それもOperation上の肌感覚を掴む機会が起業家と比較して限定されている状況において、である。
その為、VCの行動様式の基本は「そもそもそれは何なのか」を最短距離で掴む方向になる。そして、新たな事業提案に触れて、「詳細調査をすべきか否か」を判断するのに必要十分な情報量と時間が、10枚のスライドと20分のプレゼン、そしてその後40分のQ&Aということになる。
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