当地では、相変わらずCGM(Consumer Generated Media)系のStartupが増えている。テキストのみならず、音声やVideoのShareをサポートするStartup群。代表例は日本でも有名なYouTube。
彼らの競争優位とは何だろう、と考える。大規模なVideo Shareを実現するインフラは、それなりに構築・運用に高度なノウハウが必要とされるであろうことは理解出来るが、それ自体がStartupに継続的に優位な立場を与えるファクターであるとも思えない。Blog等のテキスト共有の仕掛けは、より一層参入は容易である。
そんなことを考えながら、BloglinesのFounderであるMark Fletcherが、Software Development ForumのStartupSIG講演した内容をmp3でぼーっと聞いていたのだが、講演後のQAの以下くだりで改めて「そうだよなー」と思った。
Eventually, yeah. My philosophy is: focus on getting the users first. And I've got it on another slide somewhere, but, really, everything about your service can be copied except your users and the buzz that you have. Technology is basically a commodity these days. I always figured somebody was much smarter than I was coming up with technology anyways, so, but the one thing your competitors can't take from you are your users and the buzz that they generate, and the press around it. So that's really what I focused on.
特に真新しい論点ではないが、「テクノロジーはCommodityである」、「サービスに関連する全ての事は(競合に)コピーされる」と気持ち良いほど言い切っている所が印象的。一方で、「ユーザとBuzz(評判とか流行の意、「ブーム」みたいなニュアンス)はコピー出来ないから、ここに集中した」とある。実際、Bloglinesは定番のRSSリーダーになった。(ちなみにBloglinesは事業資金としてたった20万ドルしか使っていない。2003年に始め、流行り、2005年にAsk Jeevesに買収された。)
(Markの講演(スクリプト及びmp3)は、こちらにUpされている。本エントリの主旨とは別に、Bloglinesを6ヶ国語対応させるのに4000ドルしかかけてないとか、色々面白い。)
旧来のマスメディアは、電波という物理的なリソース制約のお陰で、寡占的地位を獲得してメディアとしての立場を固めた。自らBuzzを巻き起こさなくても、チャンネル数には限界があるので自然と多数の利用者を取り込むことが出来る。
一方で、インターネット上でのサービスインフラのリソースに物理的制約は無く、Markの言に従えばテクノロジーや新たなサービスアイディアはすぐにコピーされてしまう。そこでの差別化要因としてBuzzに注目するのは、全く理にかなっている。
一方でBuzzの問題は、まさにBuzzである点にある。即ち、流行り廃りのトレンドをどう乗り越えるか。Friendsterが一大ブームを巻き起こした後、あっという間にしぼんで行ってしまったことは記憶に新しい。
となると、CGM企業が考えるべきことは、まず「どうやってBuzzを起こすか」という点であり、次に「それを如何に継続させるか」という点になる。要はPRやブランド、マーケティング命ということか。
そこで参考になるのは、他分野でのロングセラー商品のマーケティング事例かも知れない。某国民的(?)栄養ドリンクや定番の日用品、某ビール銘柄等が息の長い売れ方や強烈な定番化状態を獲得して行ったプロセスからひょっとしたら学ぶことがあるのではないか、と思う。(誰か詳しい人教えて下さい)
VCの立場では、本分野を「事業成否の事前予見可能性が低い」という理由で「取り上げない」とか「超博打を張る前提で取り組む」とか、色々な捉え方があろう。が、当方としては「何らかの勝ちパターン」がやはりあるのではないかと思う。Markのように「TechnologyはCommodityである」と断言するのも抵抗がある。
半分楽しみながら日々思案中である。
「テクノロジーや新たなサービスアイディアはすぐにコピーされてしまう」はたぶんあたりですね。
特にITやネットの世界のものはそうではないでしょうか?インターネットによってラストワンマイル(お客への最後のリーチ)が簡単になったけど、真似るもの簡単ということでしょう。
「Bloglinesを6ヶ国語対応させるのに4000ドルしかかけてない」とは知りませんでした。びっくり!
Posted by: じい | June 07, 2006 at 08:21 PM
「じい」さんへ。コメントありがとうございます。ソフトウェアそのものがCommodity化することで、本当に突き抜けたテクノロジーか事業構想力で優劣を競う、という本来あるべき姿になって行くのだと思います。
Posted by: Dave | June 16, 2006 at 01:27 PM