大分前にTechCrunchで紹介されていたので御存知の方も結構いると思うが、最近Jottのサービスを使っている。同社は、電話で喋ったメッセージをテキストに変換してメールで送ってくれるサービスを展開している。全て無料。
Jottのサービスを使おうと思った動機は、日々の自動車のMileage記録の面倒さを解消する為。当地では自家用車を仕事中の企業訪問時にも使うのが普通だが、仕事で訪問した先とOffice間の往復のガソリン代は会社に請求することになる。この請求をする為に、社外に外出するたびにStartとEndのMileage(要はオドメータの数字)をうちでは控えておく必要があるのだが、毎日あちこち飛び回っている身としては、毎日オドメータの数字を控えて後日Excelに打ち込んで集計する必要が生じる。これ、やってみるとわかるが、かなり面倒くさい。
そこでJottの出番。車に乗り込んだ時と車を降りる際に、予め携帯に登録しておいたJottの電話番号に電話をかけてメーターの数字を言って電話を切るだけ。これで、自分の電子メールのInboxに数字が書いてあるメールが送られて来る。メールの件名に〔Jott to Self〕と入っているので、これをキーにOutlookの仕分け機能を使って予め作っておいた「Jott」というフォルダにこのメールが自動的に仕分けされるようにしておく。
これで、Outlookの「Jott」フォルダに毎日のMileage数字が勝手に溜まって行く。あとは1週間とか2週間に1回、数字を立替申請のExcel Formにコピペして転記して行くだけ。かなり便利。
もう1つの用途として、自分のアイディアメモや備忘録としてもJottを使っている。仕事上のタスク、課題、アイディア、Blogネタの着想など。何か思いついた時にJottに電話をかけ、しゃべる。無論、英語で喋らなければいけないのだが、人間に対して喋るのに比べると、背景を説明せずに自分が後で聞いて(読んで)わかるレベルで情報を突っ込んでおけばいいので遥かに楽。
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しかし、1つ不思議なことが今日あった。
今日、試しにJottに電話をかけ、以下のテストメッセージをしゃべってみた。
"This is a test message. I hope that Jott can figure out what I am talking about."
すると、テキストへの変換結果が以下の通りメールで送られて来た。
"This is a test message. I hope that Jott can understand what I am talking about."
完璧な聞き取り!と思ってよく見ると、"figure out"が"understand"になっている。この聞き間違い、意味的には大きな問題無いが、機械がこんなインテリジェントな聞き間違い(?)をするだろうか・・・・。
実際の当方の吹き込み音声とテキスト変換結果はここで聴ける&見られる。多分Understandとは聞こえない筈である・・。
この間違いの理由として考えられる原因は2つ。1つは、本当に人間が聞き取りをしてテキストを書き起こしている、というオチ。沢山の聞き取りを一生懸命やっている中で、Figure Outと聞こえているのだが、ついうっかり意味的にほぼ同等のUnderstandとタイプしてしまった、という感じ。もう1つの可能性は、やっぱりJottは全て機械が聞き取りをやっているという前提がありつつ、機械が聞き取りに失敗した際に、今迄の当方若しくは他人のJott利用履歴から類似文と思われるものを引っ張り出して来て聞き取りに失敗した箇所に当てはめる、というアルゴリズムをJottが採用しているというオチ。
まあ、多分後者なのかも知れないが、もし人間が裏にいたとしたら面白い。そういえば、去年秋のNILSにSkype VideoでVirtual誘致したRiyaのCEOから、同社はインドで人をずらっと並べて機械が判別出来なかった顔の比較照合を人力でやらせている、という話を聞いたことを思い出す。ある意味、ネット上でサービスを利用している立場では、実時間且つReasonableなコストで期待通りのQualityの結果が返ってくるならば、裏での情報処理の実現手段が機械なのか人間なのかはどっちでもいい話となる。機械も人間も、呼び出しに応じて何らかのサービスを提供するComponentと捉えればequivalentな存在。
過去何回か、認知系の処理系は人間と機械のハイブリッドで当面進むと書いたが(2005年12月18日「GoogleのRiya買収は流れた模様」、2005年12月19日「YahooがAIの専門家受け入れ」等)、タグ付けとRatingのレベルを超えて、人間の認知・認識・判断能力をうまく機械の処理系と融合させる仕掛けが世の中にもっと色々あっていいと思う。
この辺りの可能性については、今度日を改めて久しぶりに書いてみたい。
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