日本帰国後2週間強が経過。大半の引越荷物が未だ太平洋上にあることもあって生活のセットアップは道半ばであるが、連休明けから仕事にエンジンがかかり始め、新聞・雑誌の毎日の通勤時の通読ルーチンも淡々と消化。大手町の紀伊国屋や丸の内の丸善で本を大量に買い込んで週末は1日1冊、平日は2日で1冊ペースで処理開始し、今週から夜の宴席もフルに実行開始して築地や銀座で飲み食いして、特に金曜の晩は腹筋が筋肉痛になりそうなほど笑い倒す。
深夜はBlu-Ray Diskのオペラやコンサートの映像をPlasmaに映して眺めながら、読書やもの書き、そして考え事に費やす。別途仕事で読まねばならない書類や書籍は積み上がり、温泉等の日本国内旅行も早々に始めたいと思って調査開始し、K君に頂いた東京のミシュランガイドを眺めていて行きたいレストランは20件を超え、Golfのお誘いも早速ちらほら頂き始めて練習もしなければならないと軽く焦りながら近隣のDriving Rangeの場所を調べ、そして自宅リビングでは目の前で子供があちこち走り回って対応に追われる。。いい感じで圧倒的に時間が無くなって来た。。。
さすがに木曜あたりからちょっと疲労感を覚え、土曜は1日安静にして体力回復に努める。1日ゆっくりするのは本当に久しぶりと思ってスケジュール帳を見返すと、日本帰国前の仕事、引越準備&引越対応、アメリカ国内の旅行や買出し、そしてGolf等でことごとく週末や休日は全て外出していて、続けて日本帰国後の週末や連休は主に生活セットアップ関連の買い出しを中心に連日外出。最後に1日自宅でのんびりしたのは4ヶ月近く前の1月25日まで遡ることに気づき、改めて疲労感を覚える。
土曜の昼下がり、ソファにもたれかかって2006年にBerlinのWaldbuhneで行われたAnna Netrebko, Plácido DomingoそしてRolando Villazónの野外コンサートのBlu-Ray Diskをかける(Berlin Concert: Live From Waldbuhne)。Waldbuhneは欧州最大の野外コンサート会場で、このコンサートのAudienceは20,000人。Blu-RayのHigh Definitionの画像はキメ細やかで大変美しく、音も素晴らしい。Full HDの大画面Plasmaに映し出された迫力ある映像は、あたかも会場にいるように思わせる程の臨場感。
画像の美しさに感動していると、間もなくコンサート開始。久しぶりに見るDomingoはすっかり老けて痩せていて軽い衝撃をうけるが、柔らかくどことなく知性を感じさせる歌声は相変わらず健在。Anna Netrebkoは劇的に歌い上げる場面でもキャパの4割は残しているのではないかと思う程の余裕ぶりで、聴いていて安心して感動出来るソプラノ。そしてVillazónは圧倒的に情熱的で、聴いていてこちらの体内にエネルギーが注入されて来るのを感じる。
ちなみにDomingoとVillazónとのかけ合いの場面でVillazónが主旋律を歌いDomingoは副旋律をなぞっているのを聴いて、これ自体にはさしたる意味は無いのだろうが「新旧交替」というキーワードが浮かぶ。そしてふと、もうすぐ平成生まれが社会人となって会社に入って来ることに思い至る。1秒1秒、じりじりと自分自身が人口ピラミッドの上のほうに押し上げられて行っていることを実感する。
しかし、改めて3人とも圧倒的に歌がうまい。そして1曲歌い終わるたびに大歓声が野外コンサート会場の客席全体から沸き起こる。こぼれんばかりの笑顔で拍手をしながら盛り上がる人々、胸の前で手を合わせて恍惚の表情を浮かべる人々、そして夫婦やカップルで満面の笑みを浮かべながら手を取り合って佇む人々。オケの面々も紅潮した顔を並べて歌い手に拍手を送る。そしてその中心で自信に満ち溢れた顔で会場やオケに手を振る3人。最後は会場総立ちで拍手となり、20,000人の善意が充満する。
このDiskは超お勧め。ポスト金融危機時代の価値観模索にあたって、このコンサート会場の雰囲気は補助線の1つに多分なりうる。